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この記事の目次
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映画「SING/シング」のあらすじ・ネタバレ
動物だけが暮らすどこか人間世界と似た世界。コアラのバスター・ムーンが経営する“ムーン劇場”は観客が減り、倒産の危機を迎えていた。バスターは根っからの楽天家で、自分の劇場を何よりも愛し、何が何でも劇場を守ろうと必死だ。なんとか劇場を立て直したいバスターに、人生最大の歌のコンテストを開催するという、最後のチャンスが訪れる。
主要候補は6名。ギャングファミリーから抜け出し歌手を夢見るゴリラのジョニー。25匹の子ブタたちの子育てに追われるブタの主婦、ロジータ。傲慢なボーイフレンドと別れてソロになろうと奮闘するパンク・ロッカーなヤマアラシのアッシュ。極度のあがり症を抱える内気な10代のゾウ、ミーナ。人をだますのも歌うのも、同じくらい軽やかにやってのけるネズミのマイク。超ハイテンションなシンガー兼ダンサーのブタのグンター。彼らも人生を変えるチャンスが来たと信じて、それぞれの想い(おもい)を胸にバスターの劇場に集結する。バスターは最終決戦に向け各々の参加者を指導するうちに、救いを必要としているのは劇場だけではないことを感じ始める。
そんな時、トカゲの秘書、ミス・クローリーの手違いで発表してしまった賞金の10万ドルを工面できないバスターは、羊の親友エディの祖母である元スター歌手の羊のナナを頼ろうとするが…。
バスター・ムーン: マシュー・マコノヒー(内村光良)
ミーナ: トリー・ケリー(MISIA)
アッシュ: スカーレット・ヨハンソン(長澤まさみ)
ジョニー: タロン・エガートン(大橋卓弥/スキマスイッチ)
グンター: ニック・クロール(斎藤司/トレンディエンジェル)
マイク: セス・マクファーレン(山寺宏一)
ロジータ: リース・ウィザースプーン(坂本真綾)
ミス・クローリー: ガース・ジェニングス(田中真弓)
エディ: ジョン・C・ライリー(宮野真守)
ナナ: ジェニファー・ソーンダース(大地真央)
映画「SING/シング」のネタバレ
幼い頃に舞台に魅せられ、長じて劇場主となったコアラのバスター・ムーン。しかし劇場の運営は振るわず、前の公演の関係者への賃金の支払いも滞り、銀行からも返済を迫る連絡が繰り返し入っていた。そんな中、バスターは新たな劇場の目玉として、賞金1000ドルで歌のオーディションを行うことにする。ところが、劇場事務員のミス・クローリー(イグアナ)の手違いにより、賞金「10万ドル」と記載されたポスターがバスターのチェックを経ずに街中へばらまかれてしまう。
翌日、街中から大勢の動物が集まる。オーディションを通過し、最終的にステージに上がることとなったのは、主婦のロジータ(ブタ)、窃盗団のボスビッグ・ダディの息子ジョニー(ゴリラ)、ストリートミュージシャンのマイク(ネズミ)、彼氏のランスとバンド活動をしているパンクロッカーのアッシュ(ヤマアラシ)であった。しかし、本番の曲目や衣装は全てムーンの独断で決められ、各々戸惑いを見せる。その最中、バスターは賞金が誤って10万ドルと記載されていたことを知り、自力では用意できない大金を工面すべく、大金持ちの息子で友人のエディ(ヒツジ)と共にエディの祖母を訪ねる。エディの祖母は、バスターが劇場主を志すきっかけとなった大物舞台女優ナナ・ヌードルマンだった。バスターは何とかナナをリハーサルを見に劇場へ来る約束を取り付けることに成功する。
一方、アッシュはランスの浮気現場に遭遇し、別れを告げるも落ち込む。ロジータはペアに充てられたブタのダンサーグンターと相性が合わない上、練習と家事との両立にも悩む。ジョニーは練習に参加したいあまりビッグ・ダディの窃盗計画を台無しにしてしまい、結果ビッグ・ダディは収監され、絶縁を宣言される。マイクは自分が賞金を得ると信じて疑わず、10万ドルをダシに銀行でカードを作りカジノで遊びほうけていた。しかしイカサマがばれ、クマのゴロツキに追われる身となってしまう。恥ずかしがり屋なゾウの少女ミーナは、自身の性格が災いしてオーディションで歌うことができず、再審査を求めてバスターを訪ねるが、結局任されたのは機器を操作する舞台係であった。
バスターはエディ、ミーナと共に舞台の床とホリゾントを巨大水槽にするという大改装を行い、そこに雇ったホタルイカを踊らせるという演出を施す。やがてリハーサル当日を迎え、エディと共にロイヤルシートに招かれたナナはその新たな演出に引き付けられる。だがマイクの出番になったところで、彼を追っていたクマたちがステージへ乱入、バスターたちが止めに入るも賞金が入っているとされる宝箱が開けられてしまい、10万ドルが準備されていなかったことが皆の前で露呈されてしまう。さらに重量オーバーで床の水槽に亀裂が走り、やがてものすごい勢いで水が流れ出し、やがて劇場は濁流に呑まれ水没、完全に崩壊する。幸い死傷者は出なかったものの、劇場が建っていた土地は銀行に差し押さえられてしまった。
劇場も自宅も失ったバスターは意気消沈し、エディの部屋に引きこもる。皆がそんなバスターを心配して声をかけるが、楽天家だったバスターもさすがに落ち込み皆を傷付けてしまう。その後バスターはミス・クローリーと共に父と同じ職業の洗車屋を始め、エディも手伝ってくれる。そんなある日、バスターの耳に素晴らしい歌声が届いた。バスターは洗車の手を止めて歌の聞こえる劇場跡の廃墟へと向かう。そこにいたのはヘッドホンをして無心に歌うミーナだった。ミーナの歌に心を揺さぶられたバスターは、崩れ落ちた劇場のガレキを撤去し、仮設の野外劇場を作ってそこで改めて公演を行うことを決意する。
劇場を崩壊させた元支配人の無謀な企画に、テレビのニュース番組が冷やかし半分にカメラを回し生中継を始める。ほぼ出演者の身内や関係者のみでボチボチと埋まった客席の中、トップバッターのグンターとロジータは息の合ったキレのあるダンスと歌で盛り立てる。最初は馬鹿にしていたニュース放送も、演者のパフォーマンスのクオリティの高さにキャスターも引き込まれ、さらにニュースを見た者たちがどんどん劇場に集まり、やがて場内は満席となっていく。収監先のテレビでジョニーが歌っているところを見たビッグ・ダディは息子の歌の素晴らしさに感動し、刑務所を抜け出してジョニーに絶縁を撤回することを伝える。アッシュの出番では銀行員ジュディスが公演を中止させようと伴奏の電源を切ってしまうものの、アッシュは足を踏みならしビートを取りながらギター1本で歌を熱唱し、大歓声を浴びる。無報酬ということで出演を止める気だったマイクも、街中でテレビ中継に熱中する観衆の様子に「俺が本当のパフォーマンスを見せてやる」と舞台に立つ。トリに抜擢されたのはミーナ。最初は緊張で足を踏み出すことができなかったものの、バスターに「歌って(Sing)」と励まされ決心し、歌い出す。彼女の歌は大喝采を浴び、客席にいたナナも拍手を送った。
その後、ナナが土地を買い取り劇場が再建され、歓声を浴びながら劇場は再びオープンした。
映画「SING/シング」の主な登場キャラクター
バスター・ムーン (Buster Moon)
声:マシュー・マコノヒー(原)、内村光良(日)
コアラの男性。劇場の支配人。6歳の頃に洗車屋を営む父に連れて行ってもらった劇場でナナの演技に魅了され、宇宙飛行士の夢を捨てて父の援助で劇場を購入し、経営者となる。しかし、目玉となる演目も打ち出せず、給料や劇場の維持費の支払い、銀行への返済もままならないほどの経営難に陥っている。何かと友達のエディに頼りがちで、劇場を失った後は彼の家で暮らす。
ロジータ (Rosita)
声:リース・ウィザースプーン(原)、坂本真綾(日)
ブタの主婦。普段から夫のノーマンや25人の子供の世話に手を焼いている。練習に参加すべく家事が決まったルーティンで動いていることを利用して、家に設置したからくり装置で家事を済まそうと試みる。しばらくは順調であったが、アクシデントによりからくり装置が一部壊れ、装置の動きがルーティンとズレてしまい失敗に終わる。見た目のインパクトがないとしてバスターによりグンターと組まされるが、グンターのようにダンスがうまく踊れず苦悩する。
マイク (Mike)
声:セス・マクファーレン(原)、山寺宏一(日)
ネズミの男性。ストリートミュージシャンとして生計を立てており、音楽院出身ということもあって演奏、歌唱共にプロ並みだが、それにネズミゆえの体格のコンプレックスが合わさって自分より大きい生き物に対してプライドが高い。そのため通行人から受け取った投げ銭の金額が気に入らなければすぐに癇癪を起こす。更に歌手として勝った心算になるお調子者でもある。女性ネズミの心は掴んでいるのか、助けてもらえた。
アッシュ (Ash)
声:スカーレット・ヨハンソン(原)、長澤まさみ(日)
ヤマアラシの少女。彼氏のランスとパンクロックのバンドを組んでおり、アッシュはサブボーカル。気分が盛り上がるとリードボーカルのランスの歌が掻き消えるほどの歌声で目立ってしまうため、ランスによく注意される。参加したオーディションではアッシュのみ合格し、それが原因でランスに浮気されてしまう。バスターからはティーンエイジャーの年相応らしいポップを歌うよう指示されるが、もともとパンクロッカーであるため納得できないでいる。ランスの浮気発覚後はその悲しみを振り切るため曲作りを始める。
エディ (Eddie)
声:ジョン・C・ライリー(原)、宮野真守(日)
ヒツジの男性。裕福な家庭で子供の頃から甘やかされ、過保護に育てられてきた。そのため、親から自立を促すべく自宅の離れに部屋を与えられている。友人に対しては情が厚く、バスターが窮地に立たされた時にはいつも手助けをする。
ジョニー (Johnny)
声:タロン・エガートン(原)、大橋卓弥(日)
ゴリラの少年。父は、盗賊団の長ビッグ・ダディ。ステージではピアノでの弾き語りをするようバスターに指示される。父はジョニーが自分の跡を継ぐことを期待されており、逃走車の運転手を任されるが、待機中にステージの練習へ行った結果、父達は逃走に失敗し逮捕される。刑務所の面会で父から絶縁を宣言されてしまうが、バスターが自身を「生まれながらの歌手」と評価していたことを知り、ピアノの練習に専念する。
ミーナ (Meena)
声:トリー・ケリー(原)、MISIA(日)
ゾウの少女。祖父や母からは歌の実力を認められているが、極度の恥ずかしがり屋で、そのせいでオーディションでも失敗してしまう。祖父や母に背中を押される形で何とかバスターに話を付けるが、バスターは彼女の話を聞かず、結果舞台係を務めることとなる。その後カエル3人組が脱退したことにより出場権を得るが、直後に劇場が崩壊してしまう。普段からヘッドホンで音楽を聴きながら歩いている。
ナナ・ヌードルマン (Nana Noodleman)
声:ジェニファー・ソーンダース(原 / 声)、ジェニファー・ハドソン(原 / 歌)、大地真央(日)
ヒツジの老婆。エディの祖母。エディ曰く90歳を超えており、周囲にも度々存命を驚かれる。かつては大物舞台女優として活躍しており、バスターが劇場支配人を志すきっかけとなる。現在は、広大な豪邸で孤独に暮らしている。
ミス・クローリー (Miss. Crawly)
声:ガース・ジェニングス(原)、田中真弓(日)
200歳のイグアナの老婆。劇場で事務員を務めるが、右目の義眼が外れるたびにトラブルを起こす。
ビッグ・ダディ (Big Daddy)
声:ピーター・セラフィノウィッツ(英語版)(原)、石塚運昇(日)
ギャング団を率いるジョニーの父。ギャング団は全員、白ウサギの覆面を被って行動する。窓の格子を引っ張って外す怪力を、刑務所で披露する。また警察から逃げながら劇場へ向かう中で、車からビルへ飛び移るなど高い身体能力を見せている。
グンター (Gunter)
声:ニック・クロール(原)、斎藤司(日)
ブタの男性。オーディションではレディー・ガガの「バッド・ロマンス」を披露するも落選したが、バスターによりロジータのペアを任される。明るく、パートナーであるロジータを励まし続ける男気もあり、ピチピチのレオタード姿での踊りにはキレがある。
ランス (Lance)
声:ベック・ベネット(英語版)(原)、谷山紀章(日)
アッシュの彼氏であるヤマアラシの男性。アッシュとバンドを組んでおり、自らが曲を書きリードボーカルを務めている。アッシュだけが合格したことにより、ベティと浮気してしまう。
ミーナの祖父 (Meena's Grandfather)
声:ジェイ・ファロー(原)、手塚秀彰(日)
ミーナが歌で活躍できる日を願っているゾウの老爺。ミーナがコンテストで歌えなかったことを知ると、オーディションのやり直しを求めるよう忠告する。
ノーマン (Norman)
声:ニック・オファーマン(原)、奈良徹(日)
ロジータの夫。仕事は多忙なのか育児はロジータに任せており、彼女への愛や労いの言葉も社交辞令と化している。
ミーナの母 (Meena's Mother)
声:レスリー・ジョーンズ(原)、くじら(日)
ミーナのあがり症を庇うゾウの女性。ミーナがオーディションに合格したと勘違いし、家族の誰よりも喜ぶ。
ジュディス (Judith)
声:リー・パールマン(原)、鶏冠井美智子(日)
リャマの女性。銀行員であり、バスターに貸付金の返済を迫る。
ミーナの祖母 (Meena's Grandmother)
声:ラレイン・ニューマン(原)、巴菁子(日)
ミーナのコンテスト合格を願っているゾウの老婆。
スタン (Stan)
声:アダム・バックストン(英語版)(原)、不明(日)
ギャング団の一員であるゴリラの男性。
ボス熊 (Boss Bear)
声:ジム・カミングス(原)、三宅健太(日)
熊のごろつきのボスである熊の男性。マイクとカジノで対決するが、イカサマを見破り仲間と共にマイクを追いかける。
ベティ (Betty)
声:タラ・ストロング(原)、水樹奈々(日)
ランスの浮気相手で、ヤマアラシの女性。ランスと一緒にタンバリンを弾いていたところをアッシュに目撃され、浮気が発覚してしまう。日本公開日がベッキー不倫騒動直後のため、英語版のベッキー(Becky)から変更されている。浮気発覚時にランスとともに家から追い出されてしまうが、その時忘れたサングラスをアッシュのステージ衣装の一つとして活用される。
ナンシー (Nancy)
声:タラ・ストロング(原)、不明(日)
白ネズミの女性。カジノでマイクと出会い、後にガールフレンドとなる。マイクがクマのゴロツキに追われているときには、車で助けに来てくれた。
リッキー 、ハウィー、カイ (Ricki, Howie, Kai)
声:不明(原)、木村昴(日 / リッキー)、村瀬歩(日 / ハウィー)、柿原徹也(日 / カイ)
オーディションに合格したカエルの3人組。リハーサル中に仲違いを起こし参加を取りやめる。
ウサギ3人組 (Three Rabbits)
声:不明(原)、重本ことり、佐倉綾音、辻美優(日)
オーディションに参加していた白が1人、茶色(明るい茶色とこげ茶色)が2人のウサギの女性3人組。ニッキー・ミナージュの「アナコンダ」を披露する。その後公演を見に来ており、ミーナの歌に合わせて踊っていた。
ダニエル (Daniel)
声:ウェス・アンダーソン(原)、河口恭吾(日)
オーディションに参加したキリンの青年。ジョニーと同じソロ部門のオーディションを受けていた。当初は合格していたが、首が長いせいで合格の声が聞こえず、埒が明かないとバスターは合格を取り消しジョニーが繰り上げで合格になった。
リチャード (Richard)
声:不明(原)、MC☆ニガリa.k.a赤い稲妻(日)
オーディションに参加していたバイソン。クレイジー・タウンの「バタフライ(英語版)」を披露する。結果発表に緊張して放屁が止まらず、足元にいたレイを踏んでしまう。
ワニ (Crocodile)
声:不明(原)、Rude-α(日)
オーディション参加者。ロボットダンスが得意でデジタル・アンダーグラウンドの「ハンプティ・ダンス(英語版)」を披露した。
レイ (Ray)
声:不明(原)、宮野真守(日)
オーディションに参加していたカタツムリ。リチャードに踏まれてしまうが謝るリチャードの手によって外へ連れ出された。その後、回復したようでリチャードと共に公演を見に来ている姿が確認できる。
キップ・ケイシー (Kip Casey)
眼鏡をかけ、オレンジがかった茶色の毛のネコの男性。リハーサルで崩壊した劇場前からニュースレポートをする。
キューティーズ (The Q-Teez)
日本から来た女性レッサーパンダ5人のユニット。ボーカロイドのような声で話す。英語が通じないためにオーディションに落ちた事が分からなかったらしく、劇場へ練習しに通い詰めていた。カエル3人組など脱落者が出た際にバスターが出演を交渉するが、「才能がある」 (talented)と日本語で言おうとしたら「あなたたちすごく臭いよ足の爪 非常に見て臭い」となってしまったため、怒って出て行った。日本語吹き替え版ではバスターが英語で「セクシー」と言った事で怒っている。いつもきゃりーぱみゅぱみゅの曲をラジカセから流して歌っている。バスターの片言の日本語およびキューティーズが喋るシーンは日本語版以外の言語でも唯一の日本語として使用されている。
「SING/シング」について
イルミネーションの創設者兼CEOであるクリス・メレダンドリはこれまで、主に短編アニメーション作品でキャリアをスタートさせた映画監督と組むことが多かった。イルミネーションの長編映画作品のために実写映画を多く担当する監督とタッグを組んだのは、本作が初めてとなる。メレダンドリはガース・ジェニングスが監督を務めた映画『リトル・ランボーズ』に惚れ込み、その繊細な感性に感心した。ジェニングスは、豊富なミュージック・ビデオの制作経験を通して、ビジュアル作品における音楽の力に対するユニークな視点と深い理解を培っていた。
メレダンドリはイギリスを訪れた際、ジェニングスと会い、動物だけが住む世界での歌唱コンテストについてのアイデアを伝えたところ、彼も乗り気になり、監督と脚本を務めることになった。ガースは好きな映画の中から、登場人物が歌で彩られている『ザ・コミットメンツ』のようなタイトルを挙げていった。そして、多くのキャラクターが夢のために奮闘する過程を強力なツールである音楽を通じて描かれた。部門別に作業が進められ、脚本の後すぐにキャラクター設計に入った。ガースは、プロダクション・デザインとキャラクター・デザインを務めたエリック・ギヨンと共に、作品の舞台を「美しいと同時に入り込める世界」になるよう目指した。カリフォルニアを意識し、サンフランシスコとロサンゼルスを混ぜ、加えてマイアミ風の色合いで仕上げをした。
キャラクター
動物たちは基本的に人間の風刺的な姿にした。キャラクターを見て「こういう人っている」と思わせるためだ。キャラクターは小さい動物から巨大な動物までが揃い、全員が共存している特別な世界となった。その中でもバスターのキャラクター作りを進めていくうちに、強い意志を持って不可能を可能にする挑戦に打って出るストーリーにインスパイアされるようになった。ロジータは、ファッションデザイナーであるガースの妻がモデルとなっており、インスピレーションを得るために夕食の様子を撮影していたという。マイクは、ガースの「才能にあふれてはいるが、不愉快なキャラクター」を描きたいという思いから誕生した。観客がマイクを嫌うことは予想できたが、製作陣からは変更の指示は出なかったという。ミーナをゾウにした理由として、あがり症のキャラクターは一番大きな動物であるべきだと考えたからだとしている。
音楽
本作の特徴の1つとしてとして、作り手の音楽への愛を心置きなく表現できることを挙げている。最近のポップスから往年の名曲まで音楽であふれかえっており、60曲以上が登場する。ジェニングスにとって、音楽を通してストーリーを語ることが可能となり、幅広い音楽を用いられることに大きな魅力を感じていた。観客に、全てのキャラクターのストーリーに関心を抱いてもらうことが重要であり、各々のキャラクターの物語を音楽と融合させることで可能となった。
交差する多様な人生物語と、本作の楽曲が扱わなければならない多くの物語がゆえに、物語の軸となるのはバスターであることが必須であった。また、バスターが危機に瀕しているのにもかかわらず、音楽はそれでもなお楽天的なバスターの精神に見合うような幸福感と遊び心に満ちたものでなければならなかった。ファレル・ウィリアムスによる『怪盗グルーのミニオン危機一発』の挿入歌「ハッピー」のように、イルミネーションが委託する新曲のオリジナル楽曲は、映画以外のところでもヒットした。その流れに沿い、スティーヴィー・ワンダーとアリアナ・グランデのコラボレーションによるオリジナル楽曲「フェイス(英語版)」が完成した。多数のグラミー賞受賞者である音楽プロデューサーのライアン・テダーとベニー・ブランコによってプロデュースされたこのエンディング楽曲は、「決して諦めないこと」について歌っている。テダーは楽曲の趣旨について「アリアナの声域の広さとスティーヴィーの歌声で本作のメッセージをより明確に観客が掴める曲に仕上がった」と話している。
ジェニングス、音楽チーム、プロデューサーによって重要だったのは、新たなサウンドや音楽スタイルを映画の一部として観客に体験してもらうことだった。具体的な目標として、若者はこれまで聴いたことがなかった楽曲に触れ、大人は過去の楽曲に酔いしれ、同時に今日のヒット曲に触れることを挙げている。メレダンドリは語る。
—クリス・メレダンドリ
作曲者のジョビィ・タルボット(英語版)は多彩なトーンやジャンルを融合させたスコアを製作した。本人曰く「ジェニングスと共にどうしたらオリジナル・スコアが全キャラクターの物語を語ることができるのか長時間かけて話し合い、各々のキャラクターごとに独特のサウンドを使って物語を明確にして展開を押し進めていこうという結論に至った」という。
キャスティング
本作のキャスティングには、セリフを流暢に発するのと同じくらい、歌を上手に歌いこなせるキャストを揃えることが必須だった。どの出演者も、自分のキャラクターを自分のものにする独自の方法を見出した。
バスター・ムーン役にはマシュー・マコノヒーが選ばれた。シリアスなドラマからコメディーまで幅広い役を演じてき彼は、自分のキャラクターを生かすために、バスターの楽観主義が周囲に伝染するほど強くならなければならないことをすぐに悟り、大いに親しみやすく、共感できるバスターを作り上げる術を持っていたとジェニングスは言う。ロジータ役には、リース・ウィザースプーンが選ばれた。メレダンドリは、ロジータを生き生きとさせる内なる彼女の強い意志を称賛した。マイク役には、セス・マクファーレンが選ばれた。ヒーリーは、中身が豊かな彼のメロディーを朗々と歌い上げる才能を称賛した。ジョニー役には、タロン・エジャトンが選ばれた。彼の歌声を最初に聴いた映画製作者らは驚嘆し、メレダンドリは、観客が魅了されることを容易に想像できたと語った。ミーナ役には、映画初出演となるトリー・ケリーが選ばれ、新米歌手なら誰もが経験する不安を彼女なら理解できると製作者らは信じていた。エディ役には、ジョン・C・ライリーが選ばれた。彼の声のパフォーマンスにはジェニングスも感心しており、ライリーが発した多くのアドリブやアイデアは全て使用された。
ミス・クローリーは、監督と脚本も担当しているジェニングス本人が務めた。製作当初、簡素なアニメーションを製作し、おおよそで声も入れる。その後、スタッフで分担して仮の音声を録音する。当時、ミス・クローリーはガースが担当した。声優を決めるときは、イメージを見ながら、候補の役者が出演した映画の適当なシーンの音声を聞く。候補は大勢いたが、誰にも言わずガースの声を流したところ、聞きなれた声だからか、ガースのものが選ばれた。
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